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7月のSQを無事に迎え、一大イベントを通過する格好の今日の東京市場だ。目先は揉み合い場面が続いているここからの方向性が上に行くか下に行くか、いよいよ鮮明になりそうな局面に差し掛かっている。市場参加者が次の一手を模索する中、昨日、市場を駆け巡ったのが半導体大手キオクシアホールディングスを巡るビッグニュースだった。

米投資ファンドのベインキャピタルが、保有していたキオクシア株を全て売却したことが明らかになったのだ。かつて50%を超える株式を握る筆頭株主として経営を主導してきたベインだが、上場以降、段階的に保有比率を引き下げ、ついに今回の完全売却で「エグジット(投資回収)」を完了した。生成AI向け半導体需要の拡大を背景に株価が上昇する絶妙なタイミングでの持ち株すべてを利益確定した。市場では大株主による売却圧力(オーバーハング)への懸念が後退したとして好感され、キオクシア株が一時11%を超える急上昇を記録するなど、お祭り騒ぎとなった。

今の東京市場は良くも悪くもキオクシアを中心に回っていると言っても過言ではない。それゆえ、日常のオフィスでも、この「キオクシア狂騒曲」が妙な影を落としている。私の部署にいる、自他ともに認める株好きの社員がいる。最近の彼の浮沈は、完全にキオクシアの株価と連動している。

昨日などは、株価が急騰して画面を凝視している彼に、思わず背後から「おっ、今日は一段と調子良さそうだな」と声をかけてしまった。しかし、ファンドの全売却というニュースの重みを考えると、老婆心ながら「ベインが抜けたんだから、今のうちに早く売った方がいいぞ」などと、余計なひと言が口をついてしまう。

声をかけられた本人は、引きつった笑みを浮かべて「はぁ……」と生返事をするばかり。後から少し反省した。おそらく彼は心の中で「面倒臭いな……」と毒づいていたとしたら。上司からプライベートの投資にまであぁだこうだと言われるのは、令和のこの時代、もはや新種の「株ハラスメント(カブハラ)」とでも呼ぶべきセクハラ・パワハラ顔負けの行為かもしれない。

市場のトレンドを見極めるのはプロでも難しいが、部下との距離を見極めるのはそれ以上に難しい。キオクシアの浮沈に一喜一憂する前に、まずは自分の社内での「ミスジャッジ」をしないように気をつけねばと、冷や汗をかいた初夏の1日である。
(4063)信越化学・・・・半導体といえばディスコでもアドバンテストでもなく信越化学なのだ。
(4188)三菱化学・・・・素材株の性格を持つ裏街道を行く化学株をあらためて注目したい。

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