週末の外国為替市場でドル−円で76円半まで円高が進んでいる。今から四半世紀前の1985年9月、為替に関する歴史的な合意がG5でなされた。世に言うプラザ合意である。1985年といえばPL学園が桑田・清原が甲子園で活躍し、阪神タイガ−スが21年ぶりに優勝した年である。そのとき多感な学生生活を送っていた小生にとっても当時の世情ははっきり記憶にとどまっている。当時はバブル前で景気は決して良くなかった。しかし商品が適正価格で流れデフレや無理な価格競争もなく、金融商品の金利も5%〜7%という時代であった。

プラザ合意のニュ−スを新聞記事を読んで、これは将来の教科書に載ってくるような歴史的合意なんだ、と妙な高揚感を感じた記憶がある。為替が1日20円変動したこともさることながら当時の円相場が235円だったことに隔世の感がある。

週末の76.70円前後という水準をどうみるか。プラザ合意から円の価値はドルベ−ルで3倍となった。(ここでは購買力平価についての議論をするつもりはない。)今更25年前の物差しで物事を計っても何の意味も無い。当時と世情が異なる点は為替が完全に金融商品の一つになってしまったことだ。いわゆる産業ベ−スの実需の為替取引で円相場が動いていない、あるいは相場の方向観に影響を与えていないことは誰の眼で見ても明らかである。

為替だけを扱って利益を得ようとするものが、物を作り、物を移動し、物を販売して利益を得ようとする者の交換価値を上下させるのである。この理不尽さは如何ともしがたいし、グロ−バル化のなかにあって、何を寝とぼけたこと言っているのかと指摘もまた分からないわけでもない。

プラザ合意以降、為替が経済力のある国とない国の価格競争力の均衡を図るために利用されてきたことは否定できない。しかし、今日の事態はこれとは完全に異なっている。今の円高は、通貨安競争の中でひとり生真面目な国の通貨が独歩高にも何の抵抗も無いことで、もてあそばれているかのようだ。(dfb)
人気ブログランキングへ
↑今日の関東地方は涼しくてありがたいです。