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時折、事務所に某N証券の若い証券マンが新規営業に訪ねてくる。たいてい追い払われるのだが、実にスマ−トなのである。というより、あっけなく帰っていくのである。体育会系を思わせる風貌といい、いかにも人の良さそうな好青年なのである。いつの時代からか、あのギラギラとしてうっとおしい、だけど憎めない、そういうあつかましさが証券マンから消えてしまった。

27年前、はじめて付き合った証券マンは昔の証券マンの典型だった。インタ−ネットも携帯もない時代、株の情報源はその証券マンが届けてくれる業界4紙と四季報・短波ラジオだけだった。株式業界紙を隅からスミまで読みあさり、ほんの数行の小さなコメント記事に賭けていた。売り買いすると家まで代金を集金にくる。預かり証は店頭でもらったことはなかった。

夏の暑い午後、その証券マンが汗だくで飛び込んできた。どんなに暑くてもス−ツの上着は必ず着込んで玄関に入ってくる男だった。汗を吸った上着はいつもどこかヨレた感じがしていたが、不快に思ったことは一度もなかった。

「〇〇さん、水が燃えたんです!!」


その顔は冗談のかけらも無く真剣だった。その証券マンは上司と高松に出張してきたこと。そこでとある上場企業の社長から水を燃やす実験を見せられたこと。それが日本のエネルギ−問題を一挙に解決する驚異的な新技術であることを一気に私に説明した。ある液体を水に加えるだけだという。

その時、ふたりの間に科学的根拠はいらなかった。「水はH2Oだ。水素も酸素も爆発するには必要だし、燃えるに違いない。・・・・」当時の私の頭の中では起承転結が調った。なんという空想力だろう。そしてそれを信じた。夢と金を同時に追いかけられた時代だった。その話が記事ネタになることはなかったが、その株はその直後から100円台から3800円まで上昇していった。(記憶では。)大証2部単独上場の農機株(今はつぶれてないが)であったが、笑い話のような本当の話である。実際のところは筋が介入していたようだが・・・・・。

今の若い証券マンには「この株は儲かりますよ。」と自信に満ちた顔で営業してほしいと思っている。いい加減、投資家の自己責任原則も周知、確立したのではないだろうか。(法律でダメか。)その人なりの個別株の銘柄観・相場観をもっともっと語って欲しい感じる。まるで八百屋に「この果物が甘いかどうかはお客様の判断で購入してください。」といわれるているようで味気ない思いになる。

ただし勧める理由が甘い時は、当然、その場で叩きのめすつもりでいるが。

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